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無期転換ルールについて

2019年10月14日の日本経済新聞の朝刊記事に

雇い止め訴訟 判断相次ぐ~労使間「合意」の有無争点~

という記事が掲載されました。

平成25年4月1日に施行された労働契約法18条による無期転換のルールにより、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるようになりました。(通算5年のカウントはH25.4.1以降に開始した有期労働契約が対象です)

対象となる労働者は、原則として契約期間に定めのある有期労働契約が同一の会社で通算5年を超えるすべての人です。アルバイトや派遣社員などの名称は問われません。

労働者としては、無期労働契約に転換することで、雇用が安定し安心して働き続けることができます

一方で企業側にとっては、無期転換ルールへの対応は、中長期的な人事管理も踏まえ、無期転換後の役割や労働条件などを検討し、社内規定を整備するなどの対応を求められます

現在、ルールの施行から6年がたち、無期転換権の行使が発生した平成30年4月から役1年半が経過しましたが、企業の労働者への説明不足によるトラブルが増加しているようです。

記事では、有期労働契約更新年の上限を設定することで雇止めすることに対する紛争について取り上げています

上限を設定する対応は、新たに雇用する労働者に対してはトラブルがないと思いますが、これまで反復更新してきた労働者の場合は、これまでの間生じてきた期待権を一方的に失わせることとなります。

また、上限年の設定を制度化するという名のもとに、事実上、特定の労働者の雇止めを合法化しようとするものともなりかねません。

そこで、制度として、一律、契約更新年の上限を設ける必要があるのであれば、その旨について、有期労働契約を反復更新してきた従業員に対し周知させるための説明会を実施した上で、更新上限を設けることの個別合意書、あるいは確認書を取るか、または上限を盛り込んだ雇用契約書を新たに作成し、書面化しおくことが望ましいと考えます。

雇止めが可能かどうかの判断は、この制度が業務上やむを得ないものであり、客観的で合理的な理由があると認められる場合に限られるため、慎重な対応が求められます。

トラブルを避けるためにも、無期転換ルールについての社内規定をきちんと労使間で理解しておくことが重要なポイントとなるのではないでしょうか。

〈藤川 楓〉