2022年10月13日の日本経済新聞の朝刊に
という記事が掲載されました。
2022年10月13日の日本経済新聞の朝刊に
「マイナ保険証24年秋移行、医療DXの基盤に」という記事が掲載されました。
河野太郎デジタル相が13日、2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、「マイナ保険証」に切り替える方針を示しました。
日本は国民皆保険のもと、全ての国民が保険証を持っています。
政府はマイナ保険証の導入にあたり、現行の保険証は将来的に原則として廃止するとしていましたが、今回具体的に切り替えの期限が定められました。
マイナンバーは住民票を持つ全ての人に割り当てられ、カードは本人確認やデータ閲覧の入り口となります。
保険証や運転免許証などのデータが匿名になったうえで連携されれば、個人情報が公共財として活用される一歩になり得ます。
保険証とカードの一体化で期待されるのが、日本の医療の質と効率を高めることです。
医療機関同士で患者情報の共有ができるようになれば、処方した薬や特定健診(メタボ健診)、診療の種類といった個人に関する医療情報が蓄積され、異なる医療機関でも患者に適切な診療が提供できます。
将来的には電子カルテや電子処方箋の共有も可能になる見通しです。
また、重複投薬や重複検査の減少につながる可能性もあります。
一方で、医療現場でのカード対応は道半ばで、円滑な移行への環境整備が必要です。
経済協力開発機構(OECD)の21年時点の調査では、日本は開業医などによる身近な医療のデジタル化が遅れていると指摘されています。
20年からの新型コロナウイルスの感染拡大では、紙でのやりとりが多く残り、「デジタル敗戦」との指摘もありました。
医療機関は原則として23年4月から対応機器の導入が義務化されますが、10月初めの時点で運用を始めているのは義務化の対象となっている医療機関の3割強にとどまっています。
一方で必要になる機器の申し込みを済ませた医療機関は87%に達しており、今後は普及が進む見込みです。
個人の取得率の低さも課題です。
マイナ保険証の登録数は約2500万で、普及率はおよそ2割。切り替えを忘れた人や、紛失した場合の迅速な対応も必要です。
国民健康保険や後期高齢者医療制度にはデジタルに不慣れな高齢者も多く加入しています。
高齢者が取り残されないよう、利便性の周知や取得手続きの支援なども必要と考えられます。
<松本 有紀>