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高所得75歳以上の保険料上げについて

2022年10月16日の日本経済新聞の朝刊に

高所得75歳以上の保険料上げ検討~大企業健保も負担増~

という記事が掲載されました。

厚生労働省が検討している医療保険制度改革案の概要が分かりました。

高齢化で医療費の増加が見込まれており、75歳以上の後期高齢者について高所得層を中心に保険料を引き上げ、現役世代からの拠出金負担を抑えるのが目的です。

支払いの能力に応じて負担を求める観点から、大企業の健康保険組合にも負担増を求めます。

政府の全世代型社会保障構築会議が厚労省に検討を求め、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部分で本格的な議論が始まりました。

年内に詳細を固め、来年の通常国会への関連法改正案の提出を目指しています。

改革案の柱は主に3つあります。

1つ目が75歳以上の後期高齢者の保険証の引き上げです。

後期高齢者の医療費は患者の窓口負担を除くと、1割が自身が払う保険料、残りの4割を現役世代の拠出金、5割を公費で賄っています。

年収およそ900万~1000万円より多い人が対象になっている保険料の年間上限額を現在の66万円から引き上げ、その水準以下の中・高所得層の保険料引き上げも検討し、現役世代の負担割合を抑えます。

2つ目が現役世代の負担の在り方の見直しです。

現役世代は65~74歳の前期高齢者医療を支えるため健康保険組合などから3.6兆円を拠出しています。

その算定を加入者の給与水準を加味した方法に変えます。

後期高齢者への拠出は既に似たような算定に見直しています。

平均収入が高い大企業の健保は負担増となり、給与水準が低い健保組合や、中小企業が主な加入対象の全国健康保険協会(協会けんぽ)は負担が減ります。

健保組合は21年度決算で赤字組合が5割を超えるなど財政状況が厳しく、健保組合が解散しないように国からの財政支援の拡大も検討しています。

支援額は一連の制度改革で捻出できる財源よりも小さくなる見込みです。

3つ目が出産育児一時期金の財源手当です。現在の42万円から23年度に数万円引き上げる方針で、財源の一部を後期高齢者に負担してもらい幅広い世代で子育てを支援するようになります。

今は年3000億円台の支給額の多くを現役世代の保険料で賄っています。

改革案は医療費の財源を余力のある層が負担する内容で医療制度改革が目指す方向性に沿って行われます。

ただ高齢者や大企業社員が反発し、関係団体や与党との調整が難航する懸念があります。

少子高齢化が加速する中で国民の高齢期の暮らしをどのように支えていくのか、広い視野を持って持続性の高い仕組みを再構築する必要があるのではないでしょうか。

<鈴木 翔大>