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医療費抑制策について

2023年2月7日の日本経済新聞の朝刊に

医療費抑制策、都道府県に策定義務化~改正案が判明~

という記事が掲載されました。

2024 年4月から都道府県ごとに医療費抑制策の策定を義務付け、国民健康保険に関する各自治体の運営方針に記載します

これは高齢者数がピークになる40年に備えて膨張が続く医療費を抑え、保険制度の持続性を高める狙いがありますが、罰則はなく実効性には課題が残ります。

国保の運営主体は市町村など小規模の自治体が多く、財政が不安定になりやすいのですが、少子高齢化が進んでも各市町村が安定して制度を維持できるよう、都道府県が6年ごとを目安に統一的な方針を見直しています。

この方針に医療費抑制の具体策の記載を義務付けると改正案に明記しました。

現在は国保の医療費や財政の見通し、標準的な保険料の算定方式などの記載は必須ですが、医療費の抑制策は任意でした。

病院同士の効率的な連携や後発医薬品の利用拡大などの方針を明確にし、自治体に行動を促します。

費用がどう増え、対策の抑制効果が出ているかを可視化し、医療費のムダ削減や地域で異なる保険料の是正につなげます。

抑制策の記載は義務付けますが、目標未達でも罰則などは設けません。

その他一連の改正案には現役世代の医療費の負担を軽減するための制度見直しも複数盛りこんでいます。

75歳以上が加入する後期高齢者医療制度は、窓口負担を除いた約17兆円の年間医療費のうち1割を後期高齢者の保険料、4割を現役世代の拠出金、5割を公費で賄っています。

1人当たり保険料は制度創設の08年度から2割増えたのに対して、現役世代の拠出金は7割増えました。今後は伸び率が同じになるように負担割合の設定方法を見直します。

後期高齢者の約4割を対象に、負担する保険料を収入に応じて引き上げるとともに、上限額を現在の年66万円から80万円に上げます。

24年度から段階的に負担増を進めます。

財源の多くが現役世代の保険料で賄われている出産育児一時金について、後期高齢者も財源を負担するようにし、幅広い世代が子育てを支援する仕組みにします。

65~74歳の前期高齢者の医療費の財源を現役世代が負担する支援金は、収入に応じて拠出
にメリハリをつけます。

大企業の健康保険組合の加入者は負担が増えますが、中小企業の従業員らが入る全国健康保険協会は負担が減ります。

かかりつけ医については役割や機能を法定化したうえで、国民や患者への情報提供を強化します。

かかりつけ医として各医療機関がどう役割を果たすかの報告を都道府県知事が受ける仕組みにします。

22年度から団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始め、社会保障費の膨張が加速します。

医療や介護の保険制度の維持は私たちの生活にも密着した問題でもありますので、今後の動向に注目していきたいですね。

<藤下雅基>