2023年3月5日の日本経済新聞の朝刊に
という記事が掲載されました。
厚生労働省は介護保険サービスの利用者がもっている紙の介護保険証の機能の一部を、マイナンバーカードと一体化させる検討を始めます。
現状は各種手続きの際、保険証を地方自治体の窓口に持参しなければなりません。
マイナンバーカードを使ってオンラインで完結できるようにして利用者らの利便性を高め、自治体の業務効率化も狙います。
公的な介護保険サービスの利用者は22年末10月末時点で全国に約525万人います。
サービスを利用する場合、現在は要介護認定の申請やケアプランの作成依頼などで紙の保険証を使った手続きが必要となり、介護の状態や受けるサービス内容に変更があれば、そのたびに自治体の窓口を訪れ、保険証を修正してもらう必要があります。
また、要介護認定を受けた本人や家族のほか、ケアプランを作成するケアマネージャーが代わりに出向く場合もあり、業務の負担になっていました。
ケアマネージャーが要介護者の主治医による意見書を必要とする際も、自治体の窓口を訪れて受け取らなければならず、自治体の事務作業が増え、サービス提供が遅れるといった課題も指摘されていました。
厚労省は23年度、運用に向けた調査事業に着手します。申請から利用までの自治体業務の流れを点検し、マイナカードで簡略化できる業務を確認します。
介護情報を集めたデータ基盤としては、政府の「全国医療情報プラットフォーム」を活用します。医療分野の情報も集約し、回復期に入った高齢者らの介護サービスへの移行を円滑にします。
介護保険証のマイナカードとの一体運用はデータ基盤が整った自治体で24年度にも始まり、26年度に全国規模での運用をめざします。
ただし、導入に向けては課題もあります。マイナカードの取得率は23年2月末時点で、全国で63.5%に達しましたが、年代別に見ると、80代は62.3%、90歳以上は44.3%となっており、介護保険サービスの利用者が多い高齢層ほど取得率は低く、マイナカードをもっていない要介護者の手続き方法を検討する必要があります。
自治体の担当者は「業務の効率化を期待できるものの、高齢者がメインになる施策なのでマイナカードへの切替えはうまくいかない面もありそうだ」と話します。
医療分野では24年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に切り替えることが決まっています。介護保険証についても紙製を廃止するか、今後議論します。
マイナンバーカードと介護保険証が一体化されれば、情報共有がスムーズになり今より容易に介護サービスを利用できるようになると思いますので、この施策がうまく軌道に乗ることを期待します。
<藤下 雅基>