2023年4月19日の日本経済新聞の朝刊に
という記事が掲載されました。
2024年4月から、病院などの勤務医の時間外労働に上限が設けられます。
その制度を巡り、上限を延長する特例の申請を予定する大学病院の医師数が、文科省による調査で全体の3割に上ることがわかりました。
担い手が不足する地域医療と、医師の健康や労働意欲を維持する環境づくりの両立が求められます。
2019年の働き方改革関連法の施行を受け、勤務医は生命に関わる職務上、一般の労働者から遅れて働き方改革が始まりました。
2024年4月から、時間外労働の上限が原則年960時間、月平均80時間に設定されます。
予想される影響を複数回答で質問したところ、「研究時間の確保ができなくなり成果が減少する」(90.1%)、次いで若手医師などを養成する臨床教育について「質の低下が生じる」(88.9%)という回答が続きました。
「大学病院は教育、研究の役割も担う。
医療の発展につながる研究や人材育成を継続できるようにする必要がある」と文科省の担当者は指摘しています。
地域医療や救急医療に従事する医師などは、年1860時間に引き上げる特例も都道府県に申請できます。
調査した大学病院の計約5万1000人の医師のうち、22年11月時点で特例申請を予定するのは約1万5000人と3割近くに達し、医師不足の現場の実態が浮かび上がっています。
1ヶ月に45時間を超える時間外労働は、健康障害に発展する危険性が高まります。
また、発症1ヶ月前に100時間を超える時間外労働をしたり、健康障害発症の2〜6ヶ月間で月平均80時間を超える時間外労働をしたりしている場合、健康障害と長時間労働の関連性が強いと判断されます。
生命に関わる重大な職業ですが、医師の働き方改革が少しでも早く進むことを切に願います。
<松尾 良徳>