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雇用調整助成金の見直しについて

日経新聞2月18日の朝刊に、

雇用調整助成金、感染症や災害対応は1年限定 厚労省検討

という記事が掲載されました。

雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用を助成する制度です。

これまで、雇用調整助成金における感染症拡大や災害発生時に設ける特例措置の期間の基本は1年でしたが、延長が可能でした。

しかし、特例措置が長く続くと雇用調整助成金の支給額が膨らんで雇用保険財政を圧迫すること、過度な雇用調整助成金の支給は企業の新陳代謝や、労働者が生産性の高い仕事へ転職することを妨げることの要因を防ぐため、今回の見直しでは特例措置の期間を1年に限定することが検討されています。

今回の雇用調整助成金制度の見直しの背景には、
・「緊急時の雇用維持策」という役割を明確にすること
・雇用保険財政が逼迫したことで雇用調整助成金の使い方に関係者からの異論が出たこと
が挙げられます。

雇用調整助成金に充てる積立金の「雇用安定資金」は、2019年度末には約1.5兆円ありましたが、コロナ渦で支給が急増したことにより2020年度に枯渇しました。それ以降は、本来失業保険に充てるべき「失業等給付」から2.9兆円を借金し、支給に対応していました。

2.9兆円の借金のうち1兆円については、2024年12月に閣僚折衝で返済免除が決まりました。借りた2.9兆円には労働者が支払った保険料も含まれています。

連合の総合政策推進局長からは、「本来は全額返還が原則。非常時の対策は労政審できちんと議論して結論づけることが重要だ」との指摘もあります。

雇用調整助成金の見直しについては、3月に労働政策審議会の職業安定分科会が開かれ、労使の代表を集めて話し合われる予定です。順調に進めば、2026年に適用となる可能性もあるとのことです。

<楢﨑 陽香>