2025年3月12日の日本経済新聞に、「外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の理念や基本方針」を閣議決定した、という記事が掲載されました。
外国人の育成就労、基本方針決定 3年で「特定技能」移行促す 人材確保狙う
新制度の目的は外国人の人材育成とともに日本国内の人材確保をとし、外国人の受け入れ数は日本国内の人手不足の状況を踏まえ、原則5年ごとに分野別に設定すると定めました。
原則3年で技能レベルが高い別の在留資格「特定技能」に移行しやすくして日本での長期の就労に道を開く狙いです。
技能実習と異なる点は、別の職場に移る「転籍」を1~2年働けば認め、転籍を制限する期間は分野ごとに定めます。この「転籍」は技能実習では原則認められていませんでした。そのため、職場に不満があっても我慢を強いられる構造がパワハラやセクハラ、悪質な契約違反など権利侵害の温床になっているとの批判がありました。
また、大都市圏に人材が過度に集中しないよう配慮に努めることも明記されました。石破茂首相は同日開いた関係閣僚会議で「人手不足が特に深刻な地方で外国人材の受け入れが地域産業の振興につながるようにする」と強調しました。
しかしながら、メリットだけではなくデメリットが存在することを忘れてはいけません。考えられる基本的デメリットとして
2- コミュニケーションが難しい
3- 雇用ルールの内容や社内教育の負担
などがあげられるでしょう。
基本教育や言語が異なる人に対して同業種で仕事内容が似ていても、社内ルールは一から教育していく必要があります。これは日本人も同様で転職後半年間は慣れる時間が必要です。外国人となると、最初に記載した文化的・言語的壁がありますので、政府が考えている以上に即戦力と考えるのは危険かと思います。
外国人の育成就労はもちろん新しい技術やアイデアの創造を期待できるメリットもありますが、まずは非正規雇用で働く自国の人材にも待遇の改善を進めていってもらいたいですね。
<武末 江里>