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中小企業の賃上げ支援について

2025年6月3日の日本経済新聞の朝刊に、

『中小の賃上げ支援で補助金導入は疑問だ』

という記事が掲載されました。

政府は、中小企業の賃上げを後押しするために、補助金を活用して設備投資や省力化を支援する方針を示しています。

2024年春闘では、大企業の賃上げが大きく進んだ一方で、中小企業では賃上げが進まず、その格差が浮き彫りとなりました。

これを受けての政府の対応ですが、この記事ではこの政策に対して懸念が示されています。最大の問題点は、補助金という「外からの支援」が一時的な効果にとどまりやすく、企業の自律的な成長にはつながりにくいという点です。

中小企業が賃上げできない根本的な理由は、生産性の低さや価格転嫁の難しさにあり、補助金だけではこれらの構造的な課題は解決できません。

むしろ必要なのは、中小企業が適切な価格交渉を行える環境の整備や、持続的な生産性向上のための支援です。短期的な補助金に頼るのではなく、長期的に競争力を高めるための政策に力を注ぐべきだと、この記事は提言しています。

私自身もこの記事を読んで、単にお金を配ることで賃上げを実現しようとする政策の限界を感じました。

価格交渉力を持たない中小企業が、賃上げを持続的に続けるには、より根本的な支援が必要です。

特に、日本の産業構造では中小企業が大企業の下請けとして存在するケースが多いため、その力関係の見直しも含めた支援が求められると感じました。

一時的な補助ではなく、中小企業が自らの力で生き抜いていける環境を整えることこそ、真の意味での賃上げ支援であり、持続可能な経済成長につながるのではないでしょうか。

<小松 優佳>