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パート「106万円の壁」撤廃

令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を第217回通常国会に提出し、衆議院で修正のうえ、6月13日に成立しました。

2025年6月14日日経新聞の朝刊には「働き控え解消へ改革 パート「106万円の壁」撤廃 短時間労働者へ適用拡大」として大きく取り上げられています。

この法改正の背景には、人手不足の緩和と年金制度の持続可能性の確保という2つの大きな課題があります。

ポイントとしては

① 「106万円の壁」撤廃:短時間労働者の厚生年金加入を促進し、働き控え防止。
② 企業規模要件の段階的撤廃:2035年10月までに全企業が対象となり、約180万人が新たに加入となる見込み。
③ 保険料負担の軽減措置:加入初期の3年間は本人負担を軽減し、企業側の追加負担は国が補填。
④ 在職老齢年金制度の見直し:2026年4月から支給停止基準を月62万円に引き上げ、65歳以上の就労を後押し。
⑤ 高所得者の保険料引き上げ:標準報酬月額の条件を段階的に引き上げ、年金財政の安定化を図る。
⑥ 基礎年金の底上げ:将来的な給付水準の低下を防ぐため、厚生年金の積立金を活用する仕組みを導入。

この改革は、就労促進と老後の所得保障の両立をめざす一方で、現役世代の負担増や制度の公平性についても議論が続いています。
 
 本文内に”年収106万円で新たに厚生年金に加入すると本人負担として月1万2500円の保険料が生じる。その分、老後の所得保障も厚くなる。20年加入すると受給額は月8800円増える。”とありますが、月1万2500円×20年=300万円になります。月8800円増えたとしてもこの300万円分を超えるには28年年金をもらう必要があります。

厚生年金には、障害年金、一時金・遺族年金などもありますが多くの方は老齢年金に目が行きやすく上記だけの数字を見ると年金制度に対して不安感を感じることでしょう。

どんなときも多角的に情報を取集し、自身にあった働き方を見つけていきましょう。

<武末 江里>