
2025年12月23日の日本経済新聞の夕刊に
「学童入れず『生活に影響』6割 初の実態調査、就労時間の調整で対応」
という記事が記載されました。
記事によると、学童に入れないことが、保護者の就労時間の調整や雇用形態の変更につながるケースが多く、働き方に深刻な影響を及ぼしていることが示されています。
具体的には、正社員からパートタイムへの切り替えやシフト調整が行われているとのことです。
記事の中で学童の待機児童数には言及がありませんが、共働き家庭の割合が増加している(2024年度厚生労働省の調査では、18歳未満の子どもがいる家庭で母親が働いている割合が過去最高の80.9%に達したと報じられています)ことや、核家族が大多数で親類や近隣の知人に預けられない状況をふまえると、いくら少子化といえど学童の需要が高まっていることは明白でしょう。
この調査結果は、「小1の壁」と呼ばれる問題とも重なります。
小学校入学前は保育園で朝から夕方まで預かってもらえていたけれど、入学後は日中の子どもの預け先が限られるために、仕事との両立が急に難しくなるという課題は、共働き家庭を中心に広く感じられています。
子の年齢や定員などで学童保育を希望通りに利用できないケースも多いと聞きますが、多くの家庭では小学生(特に低学年~中学年)の子どもだけで留守番をさせるのは不安があることでしょう。
また、「学童に入れない」という状況は、単に預け先がないというだけでなく、雇用や経済的安定にも波及します。
就労時間の見直しを余儀なくされると、収入の減少やキャリアの制約につながる恐れもあり、長期的な経済・社会参加への影響も懸念されます。
親が安心して働き続けられる環境の整備は、少子化対策・労働力確保という観点からも重要です。
そんな中、子育て支援策としてさまざまな取り組みが進められています。
例として、福岡市では学童保育に加え、学校敷地内で放課後に遊びや学習の場を提供する放課後プログラムも運営されており、利用時間や費用面で柔軟なサービスが整えられています。
また、学童保育とは別に、放課後の居場所づくりとして、複数の小学校で子どもたちが工作やダンス、プログラミングなどを体験できる放課後の体験活動プログラムが新たに実施され、将来的な市内全域展開が検討されています。
さらに、地域の子育て支援センターや「ファミリーサポートセンター」など、地域住民同士で子育てを支え合う仕組みも活用されています。
ただ、これらの取り組みも、まだまだ十分とは言えないでしょう。
同時に、企業側の働き方の柔軟化も進める必要があります。テレワークやフレックスタイム制度の活用、育児休暇の取得促進など、職場が子育てと両立しやすい環境づくりに取り組むことが重要です。
こうした働き方改革は、学童保育などの社会的支援と並行して進めることで初めて、子育て世代が安心して働き続けられる社会になります。
今回の記事の調査結果は、子育て世代が直面する現実を改めて浮き彫りにしました。
福岡県でも、放課後の子どもの居場所づくりやサポートの充実が進んでいますが、真に働きやすい社会をつくるためには、支援制度の拡充と働き方改革の両輪が必要です。
親が安心して働き、子どもが安全に過ごせる環境づくりは、社会全体の課題としてこれからも取り組むべきテーマでしょう。
2025年もありがとうございました。
皆さま良いお年をお迎えください。
<木藤 なつみ>