
2026年1月3日の日本経済新聞の朝刊で、
『「130万円の壁」残業代含めず 来年度、給与収入のみなら パート働き控え解消』
という記事が記載されました。
政府は「130万円の壁」対策として、2026年4月から年収要件の判定基準を見直す方針を示しています。
これまで130万円の判定には、給与収入だけでなく残業代や副収入も含めて計算されていましたが、今後は給与収入のみを基準とし、残業代を含めない形に変更される予定です。
この見直しは、社会保険料の負担を避けるために就業時間を抑える、いわゆる「働き控え」を解消し、人手不足の緩和につなげることを目的としています。
現在の制度では、従業員が51人以上の企業で週20時間以上勤務する場合、年収106万円を超えると社会保険の加入義務が生じ、従業員51人未満の企業で働く人についても、130万円を超えると配偶者の扶養から外れることになります。
このため、多くのパート労働者がこれらの年収ラインを意識して働き方を調整しているのが実情です。
今回の制度改正により、突発的な残業などで一時的に収入が増えても扶養から外れにくくなる点は、労働者にとって安心材料になると考えられます。
一方で、「壁がなくなる」というよりも、「壁の位置や形が変わるだけ」という印象も否めません。106万円の壁や160万円の壁は引き続き存在しており、制度が大きくシンプルになるわけではありません。
現場では「結局いくらまで働いてよいのか分からない」「扶養を外れた方が良いのか判断できない」といった声があがることも予想でき、今回の改正によってすべての不安が解消されるとは言い難い状況です。
また、社会保険の適用拡大が進む中で、企業側の保険料負担や事務手続きの増加も課題となります。
特に中小企業にとっては、コスト面・実務面の負担が大きくなる可能性があります。
今後は、制度改正の内容を正しく理解したうえで、従業員一人ひとりの働き方や世帯全体の収入バランスを踏まえた対応がより重要になると考えられます。
制度が複雑になるほど、正確で分かりやすい情報提供が求められます。単に年収の壁だけを見るのではなく、将来の保障や働き方全体を見据えた判断が必要であり、今回の制度改正もその一つの転換点であるといえます。
<小松 優佳>
