
2026年3月23日の日本経済新聞に
再雇用に見合う基本給は 自動車学校訴訟、名古屋高裁は算出方法示さず 正社員との比較困難
という記事が掲載されました。
定年後も働き続ける人増える中、再雇用時の賃金のあり方にも変化の兆しが見えてきています。
これまで多くの企業では、正社員の定年後の基本給は定年前の5~7割程度に下がるのが一般的とされてきました。
いわば「再スタート」という位置づけであり、他社へ転職するハードルの高さも加味すると、不満を抱きつつもそれを受け入れてきた人が多数だったのではないでしょうか。
しかし、状況は少しずつ変わってきています。背景にあるのは、深刻化する人手不足と、高齢になっても働き続けたいと考える方の増加です。
企業にとって、経験や技能を持つ人材は非常に貴重であり、単にコストを抑える対象としてではなく、戦力としてどう活かすかが問われるようになっています。
定年延長や70歳までの就業機会確保が進む中で、再雇用者の基本給を見直し、下げ幅を抑えたり、役割に応じて処遇を再設計する企業も増えてきました。
また、同じ仕事をしているにもかかわらず賃金に大きな差があることへの違和感も、以前より強く意識されるようになっています。
その背景にあるのが、同一労働同一賃金という考え方です。
職務内容や責任が大きく変わらないのであれば、年齢や雇用形態だけを理由とした大きな待遇差は合理的とは言えないとされています。
この原則は、再雇用者の賃金を考える上でも無視できない視点となっています。
再雇用の基本給は、これまでのように「定年後は下がって当然」と当たり前に受け入れる時代から、「その仕事に見合っているか」を丁寧に見ていく時代へと移りつつあります。
高齢者の就労がより一般的になるこれからの社会において、納得感のある賃金のあり方をどう築くかは、企業にとっても働く側にとっても重要なテーマであり続けるでしょう。
<木藤 なつみ>