2019年7月25日の日本経済新聞の朝刊記事に
という記事が掲載されました。
連日、ニュースなどでは話題となっている、タレントによる闇営業問題に関連した記事となっています。
記事の内容は、吉本興業と個人事業主である所属タレントとの間で書面での契約書が交わされておらず、独禁法で禁じる「優越的な地位の乱用」を誘発するおそれがあるということです。
現在、政府が推進する「働き方改革」ですが、個人事業主、いわゆるフリーランスへの対応も含まれています。
今後、働き方の多様化・産業構造の変化・深刻な人手不足が進む中で、労働基準法が定める「労働者」と「フリーランス」の働き方が混在していくことが想定されます。
労働者でもフリーランスであっても、契約関係を明確にしておかないとトラブルのもとですよね!
そこで、「労働者」との契約締結に際して、労働基準法ではどのように規定されているかを見ていきましょう。
使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません(労働基準法第15条)。
明示事項は以下のとおりです。
①労働契約の期間
②有期労働契約を更新する場合の基準
③就業の場所・従事する業務の内容
④始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間。休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
⑤賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む)
注)パートタイム労働者を雇い入れたときは、速やかに「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」、「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」を文書の交付等により明示しなければなりません!
①昇給に関する事項
②退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
③臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
④労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
⑤安全・衛生に関する事項
⑥職業訓練に関する事項
⑦災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑧表彰、制裁に関する事項
⑨休職に関する事項
労働基準法では、上記のとおり、「労働条件の明示」を求められているわけです。
(雇用契約書の作成を求められているわけではありません)
明示された労働条件が事実と相違している場合は、労働者は即時に労働契約を解除することができますので、明確に行うことを求められます。
後々のトラブル防止のためにも必要ですよね。
働き方が多様化していく時代です。整った職場環境を作るためにも、労働条件の整備や書面での明示をしっかりと行いましょう!
〈緒方 舞〉