2019年7月25日の日本経済新聞の夕刊記事に
最低賃金、東京神奈川は1000円越え~全国平均901円、引き上げ平均3.1%~
という記事が掲載されました。
現在、福岡県の最低賃金は814円ですが、今回の目安通りに引きあがると26円upの840円となります。
今回は最低賃金の引き上げが与える影響について考えたいと思います。
まず企業側の負担について、二つを上げたいと思います。
一つ目は人件費の増大です。特に、最低賃金に近い水準で働く人が多いとされるサービス業や小売業などへの影響が予想されます。
近年は非正規雇用が増加しているため給料を上げざるおえない労働者が多くなるでしょう。
二つ目は人件費の増大により、生産性の向上が求められることです。
これは中小企業にとって大きな課題であり、はやめの対策が必要となります。
2012年末からみると引き上げの上昇幅は125円に達しており経営が圧迫される企業も少なくありません。
次に働き手の中でも、特に非正規雇用者への影響についてです。
最低賃金に近い水準で働く割合が多く、特に主婦層や学生が挙げられます。
非正規雇用者の増加の要因はさまざまありますが30~40代の主婦層の就業率の上昇が挙げられます。
人手不足が深刻化している中、就業率の上昇は喜ばしい事です。
しかし、主婦や学生には「103万の壁・130万の壁」という問題があります。
この壁があることにより、夫や両親の扶養の上限範囲内で働く人が多くなり、労働時間も限られています。
最低賃金が上がると、壁に近づくスピードが速くなってしまい年末になるにつれて働けない人が増えることになります。
経験のある主婦層や学生が働けなくなると生産性の低下にもつながるため、企業の負担が増えるでしょう。
しかし、「103万の壁・130万の壁」がない非正規雇用者にとっては、自身の収入の増加となり、生活の安定と消費の増大、それによる地域産業の活性化が期待されています。
また、近年問題になっている正社員と非正規雇用者の生涯賃金格差を縮めることになり貧困層の減少が見込まれるそうです。
最低賃金の引き上げにはメリットだけではなくデメリットもあります。
今後、各都道府県の労働局で審議・決定が行われ、10月より適用となる予定ですので注目です。
平松 萌果