2019年11月20日の日本経済新聞の朝刊記事に
という記事が掲載されました。
これまで、教員に変形労働時間制は適用ができませんでしたが、働き改革の一環として、今回採用することになりそうです。
そこで、変形労働時間制についてご紹介をします。
原則の労働時間の制度は、労働基準法32条にて労働時間の上限を1週40時間、1日8時間と規定しています。
そのため、企業はこの法定労働時間の範囲内で、所定労働時間を設定する必要があります。
そういった中、変形労働時間制とは、この原則的な1週や1日の法定労働時間の規制を、1ヶ月単位、1年単位等の期間に置き換えて、業務の繁忙期に応じて、所定労働時間を配分させることができる制度のことをいいます。
1ヶ月、1年などの一定期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間以内であれば、特定の週や日について、1週40時間、1日8時間を超えて、勤務シフトを設定することができます。
この制度により、業務の閑散期、繁忙期との間で調整ができ、全体として労働時間の短縮を図ることができるようになります。
変形労働時間制には以下の4種類があります。
② 1週間単位の変形労働時間制
③ 1週間単位の非定型的変形労働時間制
④ フレックスタイム制
③の1週間単位の非定型的変形労働時間制は、規模30人未満の小売業、旅館、料理店・飲食店の事業に限られ、④のフレックスタイム制は、労働者が始業および終業の時間を自主的に決定できる制度です。
どの変形労働時間制を採用するのが適当かは、業界や業務特性によって異なってきます。
自社の実情を十分に理解しなければ、制度がうまく機能しない恐れもあります。
記事にもあるように、変形労働時間制のメリットをうまく活用できなければ、長時間労働を一層助長し、業務に支障を来すことにもなりかねません。
変形労働時間制の運用には、管理体制が整っていないと難しい場合もあります。
このような場合には、変形労働時間制を導入しないまでも、例えば労働者が30分単位で始業・終業時刻を選択できるような時差勤務制度を導入・活用することで、労働時間の短縮や柔軟な働き方を実現できる場合もあります。
こうした制度も選択肢の一つとして、会社の実情にマッチした制度を検討していくことも有効であると思います。
〈藤川 楓〉