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ひとり親控除について

2020年11月25日の日本経済新聞の夕刊に

ひとり親控除で税負担減

という記事が掲載されました。

今年の税金の支払いから、未婚のひとり親も対象となる「ひとり親控除が始まります」
同一生計の子がいる年間所得500万以下のひとり親は、2020年から所得税で35万円、2021年から住民税で30万の所得控除が受けられます。

子どもの年齢制限はありませんが、子どもに48万円超の所得があると対象外となります。

また、ひとり親でも事実婚の相手がいる場合も対象外となります。

従来は、配偶者と離婚・死別したひとり親には「寡婦(寡夫)控除」という仕組みがありましたが、未婚の場合は対象外となっていました。

今回の法改正では婚姻歴の有無による差はなくなりました。さらに離婚・死別によってひとり親となった人に関する改正も行われ、これまで所得控除は女性より男性の方が少ない控除額でしたが、これを男女問わず年間所得が500万円以下であれば、所得税で35万円、住民税で30万円と同一の控除となりました。

少し詳しく見てみると
【ひとり親控除の対象者と控除金額】
・ひとり親とは
原則として所得税の計算対象の12月31日の現況で、婚姻をしていない人のうち、下記の要件全てに当てはまる人です。また、ひとり親控除金額は35万円です。
①事実上の婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
→納税者自身が婚姻届を提出せずに同居をして生計を一つにしている、事実婚の相手がいる場合には、ひとり親控除の対象外となります。
②生計を一つにする子がいること
→この場合の子とは、その年分の総所得金額等が48万以下(アルバイト収入がある場合においては、給与収入が103万円以下であることと同意)で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限ります。また12月31日までに誕生していれば、このひとり親控除の用件を満たす子に該当します。
③合計所得金額が500万以下であること
→納税者自身にも所得上限があり、合計所得金額が500万円超の納税者自身はひとり親であったとしても、控除を適用するほど養育費の面で困っていないと所得税法の判断となります。

【寡婦控除・寡夫控除】
・寡婦控除とは
①夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で合計所得金額が500万円以下の人
②夫と死別した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人
のいずれかの要件に当てはまる人が適用を受けることができます。

・寡夫控除とは
①合計所得金額が500万円以下であること
②妻と死別し、もしくは妻と離婚した後婚姻をしていないことまたは妻の生死が明らかでない一定の人であること
③生計を一つにする子がいること
の全ての要件に当てはまる人が適用を受けることができます。

今年からひとり親控除の創設により、所得税の納税者である多くのシングルマザーやシングルファザーの所得税が減額されることとなります。

ひとり親控除で婚姻歴がない人も所得税の減額を受けることができるようになったことは、子どもを養育することにおいて夫婦揃っていることは絶対条件ではないというようなライフスイルの多様性を世間や所得税法が認め出したという結果とも言えますね。

年末調整を受けるシングルマザー、シングルファザー自身だけではなく、会社の年末調整担当者にも必要な知識ですので、この機会に一度詳しく調べてみてはいかがでしょうか。