12月6日の日経夕刊に
という記事が掲載されました。
厚生労働省が6日に発表した10月の毎月勤労統計調査によると、物価変動を考慮した1人あたりの賃金額は前月から2.6%減少しました。
これまで7か月連続の減少で、今月の下落幅は2.8%と7ヶ月の内で最も大きい値となりました。
こうした実質賃金下落の要因として、資源高や円安が考えられます。
新型コロナウイルス禍から徐々に経済活動が再開することによって、1人あたりの現金給与総額は1.8%増の17万5888円と10ヶ月連続で増加しています。
基本給に当たる所定内給与は1.3%、残業代などの所定外給与は7.9%増加しています。
中でも、運輸・郵便業は6.3%の増加、飲食サービス業は3.8%の増加などで、これらの産業が名目賃金の伸び率を押し上げていると見られます。
しかし、名目賃金は上がっているのにも関わらず、物価の上昇に賃金の伸び率が追い付いていないのが現状です。
前年同月の物価と比べると現在は4.4%も上がっています。
このまま実質賃金が下落し続けると、各家計の購買力が低下し、景気の下振れ圧力となる恐れもあります。
加藤勝信厚労相は6日の記者会見で「目下の物価上昇に対する最大の処方箋は物価上昇に負けない継続的な賃上げを実現することだ」と強調し、各企業が賃上げをしやすい環境整備を政府として進める考えを示しました。
景気の悪化を押しとどめるためにも、現状を考慮した迅速な物価高対策が必要とされています。
<大野 佑莉>