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給与デジタル払いについて

11月29日の日経記事の朝刊に

デジタル払い来春解禁決定、給与振込先25年ぶり拡大

という記事が掲載されました。

厚生労働省は28日、給与をデジタルマネーで受け取れるようにする労働基準法の改正省令を公布し、2023年4月に施行します。

給与の振込先が広がるのは25年ぶりで受け取ったデジタルマネーをそのまま買い物に使うといったことができるようになります。

企業などによる給与の支払いは労働基準法第24条で「賃金は通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。

ただし、厚生労働省令で定める確実な方法で支払う場合には、通貨以外での支払いが可能です。

1975年から銀行口座、98年から証券総合口座への振り込みが認められており、新たな振込 先としてデジタルマネーを扱う資金移動業者の口座を加えます。

「PayPay」「楽天ペイ」といったスマートフォン決済アプリ口座が振込先として想定されます。

解禁にあたり、厚労省は給与振り込みを受ける資金移動業者には厳しい要件を課します。

口座残高が100万円を超えた場合、その日のうちに100万円以下にする仕組みが必要となることや、資金移動業者が破綻したときの全額返済に向け、保証機関と契約しておく必要があり、こうした要件を満たした業者を厚労相が指定します。

安全性を意識した一方、利便性にはまだ改善の余地があります。

口座残高100万円を超えた場合の資金移動先として銀行口座などが必要になり、銀行口座を開設しづらい人も多い外国人労働者らにとって必ずしも使い勝手は良くはありません。

参入する資金移動業者の数も不透明です。

国内の移動業者は22年10月時点で85社。

保証機関との契約などコストが高く、実際の参入は数社との見方もあります。

参入が少なければ、振込手数料などの競争が起きにくくなる問題もあります。

働き方の多様化に伴い、給与の受け取りも一律の月給制から日払い、プロジェクト単位など様々な形態が求められるようになりました。

デジタル払いを認めることで振込手数料の競争が活発になり、1回あたりの手数料が減れば、企業は支払いの回数を増やすといった柔軟な対応ができるようになります。

銀行口座の保有が前提となっているなど制度化にあたってはまだ課題は残っていますが、給与のデジタル払いが認められることは、私たちの生活に身近な話題ですので今後も注目していきたいですね。

<藤下 雅基>