2023年3月5日の日本経済新聞の朝刊に
という記事が掲載されました。
男性の育児休業取得率を開示する企業が相次いでいます。
4月から大企業を中心に公表が義務付けられます。
人材の獲得競争が激しくなる中、先行して働きやすさをアピールする必要に迫られています。
義務化対象となる約4000社のうち、積水ハウスや日本生命保険など少なくとも235社が厚生労働省サイトで公表しています。
男性の育休取得率は最新データでも14%と低調で、2030年に30%に引き上げる政府目標を達成できるか見通せません。
育休は原則1歳未満の子を育てる男女が取得でき、保育所に入れないといった場合に最長2歳になるまで延長できます。
一定の要件を満たせば、休業中に育休給付などの経済支援を受けられます。
厚労省は4月から従業員1001人以上の企業に、男性の育休取得率の公表を義務づけます。
厚労省の両立支援サイトや企業ホームページで開示してもらいます。
従わない場合は行政指導も視野に入っており、行政指導には口頭での助言、書面での勧告、指導事実の公表があります。
厚労省のホームページで公表している積水ハウスや日本生命保険は100%に達しています。
積極的な公表姿勢の裏側には、働きやすさを訴えなければ人材確保がままならないとの危機感があります。
大成建設は16年に公表を始めました。
17年度以降に子が生まれた男性の育休取得率は100%になりました。
出産直後の育休を有給休暇として給与を全額保証するなど積極取得を求めています。
同社担当者は「新卒の採用活動に良い影響があった」といい、社内外へのアピールにつながりました。
義務化の対象とならない企業でも公表する動きがあります。
従業員数が約150人の屋根用金具製造のサカタ製作所(新潟県長岡市)は取得率100%を達成しています。
同社担当者は「正社員の確保が難しい状況で、育休取得率の高さや残業の少なさが小さい子供を持つ20代、30代前半の男性の人材確保につながっている」と分析しています。
取得率が低い企業でも企業姿勢を訴える目的で公表しています。
米菓大手の三幸製菓(新潟市)は8%と低いが、両立支援の仕組みを整えているといい同社担当者は「公表をマイナスには感じていない」そうです。
経済協力開発機構(OECD加盟国内で、日本の育休制度は有給休暇の長さなど内容では優れた部類に入ります。
ただ男性の育休取得が進んでいるとは言い難いです。
厚労省の雇用均等基本調査によると、日本の男性の育休取得率は21年度に14%と低く、公表義務化で国内企業の取得促進を狙い、政府は25年に30%まで高める目標を立てています。
4月以降の義務化をめぐっては、公表方法はインターネット上であればよく、細かな要件はありません。
厚労省担当者は「表現が分かりにくい場合は企業にアドバイスし、公表を怠っている場合は行政指導なども検討する」との考えを示しています。
企業に求められる働きやすさを巡る指標の公表義務は広がっています。
22年7月にも従業員301人以上の企業に男女の賃金差の開示を義務化しました。
「従業員の労働環境をオープンにしてもらい、働きやすい勧業づくりにつなげていきたい」そうです。
男性も育児休業を取得しやすい環境を企業内に作ることが出来れば、働きやすい会社として認知され、人材の確保につながり、社員の満足度も上がるのではないでしょうか。
<鈴木 翔大>