このような質問を最近よく受けます。
福岡に支店を設けた場合、また東京・大阪へ進出する場合、
「東京もしくは大阪・福岡で一括処理できますか」
という質問を受けます。
3回に分けて説明していこうと思います。
1回目 健康保険・厚生年金保険
2回目 労働保険料の申告手続・労災保険
3回目 雇用保険
第1回目 健康保険・厚生年金保険
通常、これらの手続は、原則として事業所を単位として適用されることになっています。
ここでいう事業所とは、工場、事業場、店舗その他事業の行われる一定の場所をいいます。
その事業所を独立したものとして扱うかどうかは、被保険者の身分関係、指揮監督、報酬の支払い等、直接人事管理を受けるかどうかに基づき、社会通念上決定すべきものであるとされています。
つまり、人事労務管理、給与計算、採用等がその事業所で行われている場合、1つの事業所をみなされ、その事業所で社会保険の適用を行うこととなりますが、その事業では、人事管理(採用・給与計算)などを行わずに本社で一括して行っているような場合、独立した事業所としては使われず、本社で一括して健康保険・厚生年金保険の事務処理を行うことができます。
第2回目 労働保険料の申告手続・労災保険
労働保険については、適用事業ごとに成立するのが原則ですが継続事業については、一定の要件を満たし、認可を受けた場合には、労働保険料の申告納付手続きについて一括して処理することができます。
この一括を受けるためには以下の要件を満たすことが必要です
1.事業主が同一であること
2.それぞれの事業が継続事業であること
3.それぞれの事業が次のいずれか1つのみに該当するものであること
労災保険にかかる保険関係が成立している事業のうち二元適用事業※
雇用保険にかかる保険関係が成立している事業のうち二元適用事業※
一元適用事業であって労災ほえkんおよび雇用保険に関する保険関係が成立しているもの※
4.それぞれの事業が「労災保険率表」による事業の種類を同じくすること
5.指定事業(本社等)において、それぞれの事業の使用労働者数および支払われる賃金の明細が把握できること
これらの要件を満たし、継続事業の一括を認められた場合、その後の保険料の申告納付等の事務は、本社等でまとめて行う事ができます。
しかし上記の一括が認められた場合でも労災の保険給付の請求等は、それぞれの事業を管轄する労働基準監督署で行わなければなりません。
本社でまとめて本社の所在地を管轄する労働基準監督署で行うことはできません。
第3回目 雇用保険
雇用保険は、事業所ごとに被保険者の手続きをおこなうことが原則となっていますが、その事業所の規模がとても小さく、「独立」した1事業所と認められない場合には「事業所非該当承認申請書」を提出し、承認を受けた場合に限って、主たる事業所で手続きを一括して行うことが出来ることとされています。
事業所が「独立」の要件に該当するかは、次の基準によって判断されます。
1.場所的に主たる事業所から独立していること
2.人事、経理、経営上の指導監督、労働の態様において、ある程度の独立性を有すること
3.一定期間継続し、施設としての持続性を有すること