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賃上げについて

2024年6月4日の日本経済新聞に

人事や報酬、一律より戦略性を

という記事が掲載されました。

物価の上昇や人手不足が深刻化する昨今、企業の「賃上げ余力」に注目が集まりつつあります。

円安などを背景に好業績の企業は目立ち、上場企業の手元資金は100兆円規模までに積みあがっています。

その一方で、財務省が今月3日に発表した法人企業統計をもとに企業の利益などが賃金に回る割合を示す労働分配率を算出したところ、2023年度は38.1%と過去最低となりました。

基本給の底上げによって退職金や社会保険料負担は増加するため賃上げに対して慎重な姿勢が崩せないというのは、賃上げ余力があるのにもかかわらず労働分配率が低下していることの一因だと思われます。

しかし、若者を中心に転職のハードルが下がり、十分な賃上げができなければ人材確保が難しくなりつつあるのも現実です。

高水準の賃上げ継続には、事業構造の改革と生産性向上を急ぎ、稼ぐ力を高める必要があります。

さらに重要なのは硬直的な人事・賃金制度を見直すことです。

定期昇給とベースアップについて、人事評価の高い社員に手厚く配分したり、一律を「悪平等」として若手へ重点的に配分したりと、従来の年功序列にとらわれない戦略的な配分を唱える経営者も増えてきています。

厚生労働省の2023年の賃金構造基本統計調査によると、20代の賃金は前年度に比べて2.8%増えたのに対し、35~39歳が0.7%増、40~44歳は1.5%増にとどまっており、管理職の多い中高年の賃上げは抑制傾向にあることがわかります。

ただし、中高年への賃金を一律に抑制し続けては士気低下にもつながりかねません。そのためにも、学びなおしや社内公募制、透明性の高い評価制度などが重要となってきます。

手元にあるパソコンやスマートフォンで簡単に転職活動ができるようになっている今の日本において、貴重な人材を確保し、そして長く定着してもらうためにも賃上げは積極的に取り組んでいくべき問題だと思われます。

年齢性別関係なくチャンスを与えられる「脱一律」の評価、そして業務や役職に見合う「妥当性」のある評価を両立させていくことが今後の課題になっていくのではないでしょうか。

<吉住 姫乃>