2024年10月12日の日本経済新聞の記事に
賃金上昇、ミドル転職に波及 管理職の人材不足が背景 新興、経験や知識に期待
という記事が掲載されました。
最低賃金の上昇、賃上げ促進に向けての政府の動向等がニュースで取り上げられるなか、賃金の上昇が40~50代でも鮮明になってきたとの内容が記されています。
2000年前後に社会人となった「氷河期世代」の時期に採用を絞っていた企業が、現在管理職などの人手不足に陥っている背景があり、他方スタートアップにおいても「ミドル」の経験や専門知識を評価し、積極採用に動いています。
特に賃金上昇が目立つのは転職市場です。マイナビ「転職動向調査2024年版(2023年実績)」によると、2023年の正社員の転職率は7.5%で、調査を開始した2016年から約2倍以上と高水準で推移していますが、2021年以降、30~50代のミドル世代の男性が転職した比率が高まっており、2023年では、47.6%と約半数がミドル世代の男性でした。
同調査によると転職後最も年収が上がったのは男性40代で、45.4%が転職によって年収が増加しています。
また労働省の雇用動向調査によると、2023年はフルタイムの転職者のうち40代の24.9%、50歳以上の14.5%が「賃金が1割以上上昇」したとの結果がでています。この5年でともに3~4ポイント上昇し、30代の1.6ポイント上昇を上回りました。
中堅層の賃金も徐々に上昇傾向にあり、給与計算代行のペイロール(東京・江東)のデータを基に内閣府が分析したところ、24年4~6月平均の賃金は40代が前年同期比2.7%、50代は1.0%増加しました。
一方氷河期世代は賃金の伸びが鈍く、厚労省の賃金構造基本統計調査によると、直近の23年の賃上げ率は前年比で45~49歳で1.6%と、全世代平均の1.9%増(23年)を下回りました。
氷河期世代45~54歳は非正規の割合も高く、石破茂首相は4日の所信表明演説で「自由に働き方を選択しても不公平にならない職場づくりをめざした個人のリスキリング(学び直し)など人への投資を強化する」と述べてあります。
リスキリング経験がある人の転職後の平均年収額は、経験なしの人と約140万円もの差がありました。
時代の変化に合わせて新たな武器やスキルを身に着けることは企業の成長のみならず、従業員のやりがい、生活の安定に資するといえるのではないでしょうか。
<松尾 頌子>