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ストレスチェックについて

2024年10月11日の日本経済新聞に

ストレスチェック、全企業で義務に 零細も対象

という記事が掲載されました。

厚生労働省は従業員の精神状態を調べるストレスチェックについて、すべての企業に対して実施を義務付け、これまで努力義務だった従業員数50人未満の零細企業も対象に加える方針としました。

精神障害による労災認定は増加傾向にあり、ストレスを抱える労働者への対策を強化することが目的です。

厚労省によると50人未満の零細事業所におけるチェックの実施率は2022年調査で32.3%にとどまっており、新たに対象となる事業所は21年時点で約364万カ所、労働者は約2893万人となります。

人数が少ない零細企業ではストレスチェックを進める体制が整っていないため、厚労省はチェックを受ける労働者のプライバシー保護などについてマニュアルを作成するようです。

仕事によって心理的なストレスを抱える労働者は増えています。

厚労省が精神障害による過労死などの労災を認めたのは23年度に883件と、10年間で2倍に増えており、22年11月〜23年10月の間に精神的な不調で退職したり1カ月以上連続で休んだりした労働者がいた事業所の割合は13.5%と、年々増加傾向にあります。

ストレスチェックは労働安全衛生法に基づいて、従業員に対して職場におけるストレスの有無や健康状態について調べるものです。結果は本人に知らせ、ストレスを多く抱えている従業員には医師の面接指導をすすめます。

50人以上の企業は15年から年に1度の実施が義務付けられました。検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場環境の改善につなげることも事業所に推奨していますが、この点は義務ではありませんが今後の重要な検討課題とされています。

義務化当初は従業員へのアンケートの実施のみにとどまる企業が多かったのですが、現在はデータを分析し職場改善に生かす事例が増えています。

背景にあるのが深刻な人手不足です。職場の問題を改善することで、優秀な人材を定着させようとしています。

企業のメンタルヘルスへの取り組みは、人手不足の解消だけでなく、業績面にもプラスの効果をもたらす可能性があります。

取り組みを通じ企業内で円滑なコミュニケーションが取れるようになることは、生産性の向上や企業リスク対策へのプラスの作用が期待できます。

ストレスチェックが、企業にとって“メリット”となり、すべての働く人が健やかに、生き生きと働くことができる職場環境づくりにつながっていけばいいと思います。

<辻生 智華>