7月17日の朝刊に
〈小さくても勝てる〉「社員一丸」なら若手やめず 1人休んでもカバーしあう社風に 新卒離職率わずか6.9%
という記事が掲載されました。
厚生労働省の2024年のデータによると、21年3月卒業の新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は38.4%です。
従業員1000人以上の企業は3年以内に大卒の28.2%が辞め、30~99人の企業では42.4%が辞めるなど、規模の小さい企業ほど離職率は高いのが現状です。
数値からも分かるように、多くの企業が社員の退職に頭を悩ませています。
そんな中、独自の工夫で社員の離職を防いでいる中小企業の取り組みを、記事の中から紹介します。
樹脂部品を開発する会社では、過去26年間で、新卒採用で入った社員の離職をわずか2人に抑えました。若手や中堅社員は「自分の成長を実感できる仕事の進め方」「社員一丸で課題と向き合う社風」を〝やめない〟理由に挙げています。
1人の社員が1週間休んだとき、生産ラインを止めた経験が転機となり、「業務別の手順書の作成」や「生産など現場作業の動画の共有」により、カンやコツと呼ばれるポイントをなるべく数値化することで、社員が互いの仕事をカバーしあえる職場に改めたそうです。
社員が自分の望む時期に気兼ねなく休めるようになり、有給休暇や育児休暇の取得率は90%を超えます。社長は休みやすい職場が離職率を抑える最初の一歩とみています。
また、
・若手が課題に直面した時、解決策を自分で考えて、正解に近づくことで成長を実感できる環境をつくること
・残業を減らすために会社に合った自動化装置の導入すること
こういった取組が離職率の低下に繋がっています。
仙台市を地盤に飲食店を運営する会社では、社員から友人や知人を紹介してもらう「リファラル採用」を軸に離職を防いでいます。また、22年7月に初任給を27万円から30万円に引き上げました。
リファラルと好待遇を組み合わせることで、社員の引き留めに努めています。
「宿泊業、飲食サービス業」は入社3年以内に高卒の65.1%が辞めるなど、業種別で最も人材の出入りが激しいですが、社長は「社員が事前に職場を説明するのでミスマッチが起きにくく、定着しやすくなった」と話しています。
このように離職を防ぐためにできる取り組みは様々あります。
人材不足といわれる現代で、働き続けやすい環境を整えていくことは、とても重要なことだと感じます。
ひとつの工夫で、未来が大きく変わり、持続的に発展できる会社へと成長します。
離職率の高さに悩まれている場合、まずはロールモデルとなる会社を見つけてみてはいかがでしょうか。
<白丸 眞委>