2019年6月1日の日本経済新聞の朝刊記事に
という記事が掲載されました。
6月1日、2020年卒の大学生・大学院生の採用に向けた、経団連加盟企業の選考会が解禁されました。
経団連が定める就活ルールは、面接を6月1日に解禁し、10月1日以降に内定を出す日程を示しています。
就活ルールの原型は、大学側と企業側が1956年に結んだ「就職協定」です。
戦後の復興による好況と、朝鮮特需による人手不足により、企業はよりいい人材を獲得するために、採用活動を早め、その結果、全体的に就職活動が早期化していきました。
学校側は、学生の学業専念が阻害されると主張し、これを受け、企業側と学校側の意見を調整した結果できたのが「就職協定」です。
就職協定により、はじめての「就活ルール」が取り決められましたが、一方で就活ルールを破って、優秀な学生を早期に採用しようとする企業が続出します。このような駆け抜け行為は「青田買い」と呼ばれました。ルールを破っても企業名を公表される以上のペナルティーがなかったため、「青田買い」をやめる企業はありませんでした。その結果、1996年をもって就職協定は廃止となりました。
協定廃止後も、企業は、学業に配慮し、早期の採用を自粛するルールに従ってきました。
しかし、面接解禁前の5月1日時点で、内定率はすでに5割を超えており、事実上の採用活動は前倒しして行われているのが現状です。
経団連非加盟企業を中心に、就活解禁前に学生と接触する企業が増加し、ルールの形骸化が指摘されてきました。
そこで、経団連は2021年卒の新卒採用から就活ルールを廃止する方向性を示しました。
人手不足を背景に、優秀な人材を早期に確保したい企業の現実には、横並びの一括採用が時代に合わなくなってきたのも、就活ルール廃止の一因とも考えられます。
就活ルールが廃止され、企業が通年採用を取り入れれば、学生にとっても、さまざまなことにチャレンジできる機会も増えるでしょう。
大学一年生でも優秀な人材は、企業で働きながら大学に通うなど、働き方の多様化を進めている流れの中で、新卒採用のあり方もどんどん変わっていくのかもしれませんね。
21年卒以降のルールは政府が主導しますが、当面は従来のスケジュールを踏襲する見通しです。
一方で、就活ルールの廃止により、雇用確保が難しくなり、就活時期の長期化と、それに伴う業務の負担増加が懸念されています。
就活ルールの変化に柔軟に対応出来るよう、新卒採用の仕組みや流れを、今のうちに整えておきたいものですね。
〈藤川 楓〉