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2019年6月24日の日本経済新聞の朝刊記事より

2019年6月24日の日本経済新聞の朝刊記事に

不妊治療、企業が支援を~仕事と両立 厚労省が手引策定へ~

という記事が掲載されました。

女性活躍推進のもと、仕事と育児が両立できる制度や環境は以前と比べて少しずつ整ってきています。産休や育休の取得は権利として認められ、周りの理解も得られやすくなっているように思います。

しかし、それはあくまでも子供が産まれてからの制度です。記事にもあるように日本では5.5組に1組の夫婦が不妊の検査や治療を受けていると言われていますが、不妊治療と仕事の両立を支援する制度は、まだまだ不十分であるといえます。

2017年度の厚労省による「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」によれば、不妊治療を行っている従業員がいるかという質問には、67%の企業が分からないと回答しています。

また、不妊治療を行っている従業員が受けられる支援制度や取組を行っているかという質問には、70%が行っていないと回答しています。

一方で、NPO法人Fineが2017年に実施したアンケートでは、不妊治療と仕事の両立をしている方に、不妊治療と仕事の両立は難しいと感じたことはあるかという質問には、約96%の人が難しいと回答しており、働き方を変えざるを得なかったという人は40.8%です。そのうち、退職を選択した人は半数にのぼるという結果が出ています

今回厚労省が初めて両立を支援するマニュアルを策定する方針を固めた背景には、人手不足が深刻化し、女性活躍の必要性が高まっていることが挙げられます。

人材を失うことは企業にとっても大きな損失になります。有能な人材を確保しておくためにも、このような制度の導入ついて、検討していきたいものですね。

大企業を中心に、早くも不妊治療と仕事の両立を支援する取組を進めている企業もあります。その一例として、不妊治療休暇制度(休暇期間は無休)や、失効した年次有給休暇を積み立てて、不妊治療のための特別休暇として利用できる制度不妊治療や養子縁組に要した費用について一定の金額まで補助する制度などがあります。

働き方改革が進み、長時間労働の是正や、年5日の年次有給休暇の取得義務化など取り組まなければならない課題は多くありますが、身近な問題として、不妊治療や仕事との両立について、理解を深めていきたいものです。

〈藤川 楓〉