2020年2月16日の日本経済新聞の朝刊記事に
という記事が掲載されました。
安倍晋三首相は18日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、感染拡大の防止に向けて、学校や企業に対し「生徒や従業員が休みやすい環境整備が大切であり、協力してほしい。テレワークなども有効な手段だ」と呼びかけました。
新型肺炎の感染拡大をうけて、テレワークの導入を推奨する企業も増えているようです。
テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない、柔軟な働き方のことです。
在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークの3形態があり、ワークライフバランスの実現 、人口減少時代における労働力人口の確保などが期待されています。
しかし、日本においてテレワークを取り入れたとしても、必ずうまくいくわけではないことも事実です。
さらに言えば、テレワークの導入が上手くいく、という前提が崩れると「テレワーク」の豊富なメリットがデメリットにもなりかねません。
例えば、業務が切り分けられていないため確認事項が増える→コミュニケーションコストが発生してしまう→生産性の低下になってしまう恐れがあります。
こうしたリスクがある以上テレワークを制度上だけ導入したとしても逆効果になってしまいます。
そもそも、日本で中々広まらないテレワークという勤務形態が、アメリカ合衆国ではなぜ勤務のスタンダードと言えるまでに普及しているのでしょうか?
それは、アメリカと日本における「雇用形態」の違いに答えがあります。
アメリカはいわゆる「ジョブ型」と言われる雇用形態です。
ジョブ型雇用では、個人の仕事と責任の範囲が明確化されているので、主体的に業務が遂行できます。また、昇給についても基準に基づいた業績が判断基準になることが多く、勤務場所が人事評定の障壁になりづらいといった背景もあります。
日本の一般的な雇用形態は、年功序列や終身雇用を前提としていて、職務範囲を明確には定めていないことが多く、個人の仕事の範囲がどこまで及ぶのかがわかりにくいということが言えます。
また、賃金は勤続期間によって賃金が定まるため、勤務時間を測定しづらいテレワークは普及しにくいといえます。
テレワーク未導入企業がテレワークを導入しない理由の多くは「テレワークに適した仕事がない」だそうです。
しかし、個人の業務を細分化してテレワーク可能な仕事を切り出す習慣がつけば、日本でのテレワーク普及率は上昇していくはずです。
これを機会に、「どんな業務をするのか」業務内容を定義し、「どう業務を進めるのか」業務手順を可視化することを進めていき、少しずつでも業務の効率化を図りたいですね。
〈藤川 楓〉