2020年7月22日の日本経済新聞の夕刊記事に
という記事が掲載されました。
新型コロナウイルス対策のため多くの企業が在宅勤務を導入してきています。
今後も続きそうな状況ですが、通勤手当はどうしたらいいでしょうか。
通勤手当とは会社などへの通勤にかかる費用を社員へ給料支払時に手当として支給するもので、実費弁償の性格を持ち所得税と住民税は一定額(月15万)まで非課税です。
一方、健康保険や厚生年金などの社会保険料を計算する上での報酬、賃金には含まれます。
近頃、新型コロナウイルス感染防止で在宅勤務をする会社が増えた結果、会社の中では通勤手当のあり方を見直す動きがあるようです。
通勤手当=定期代の支給ではなく、通勤手当=出勤日数×交通費という考え方です。
こうすることにより、実際に通勤していない分を節約できるため、本来の実費弁償に近づけます。
このコスト削減こそ、この考え方の最大のメリットです。
しかし、この制度を導入する前に一度考えておかなければならないことがいくつかあります。
②定期割引率と計算の煩雑性
③就業規則の変更や労働組合への報告は必要か
①について
在宅勤務/テレワーク率を正しく把握することが不可能な状況、または今後の在宅勤務/テレワーク率の計画を立てていない場合、想定したほどのコストメリットが出ない恐れがあります。
場合によっては支給額が増える可能性もあるため、今度の計画をしっかりと立てておく必要があります。
②について
定期代と実費支給額がさほど変わらない可能性があります。
実費支給にして支給額を計算する作業が増えたにも関わらず定期代≒出勤日数×交通費だとこれを導入するメリットがあまりありません。
導入する前にシミュレーションを行い、具体的な削減額を出してみてください。
③について
通勤交通費支給の制度の見直しにあたっては③の確認は事前に行う必要があります。
就業規則内で実費支給を行うことに反するような規定はないか、従業員に不利益であるということで労働組合から指摘を受ける場合はないか確認する必要があります。
新型コロナウイルスの収束が見えない状況で、在宅勤務やテレワークを導入している会社が多く、今後の働き方にも影響がありそうですね。
在宅勤務やテレワークの導入により通勤手当をどうするか考える際に上記のことを踏まえて検討するのがいいかもしれません。
<野村 貴司>