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コロナ労災について

2021年11月16日の日経新聞の朝刊に

コロナ労災、感染者の1%どまり~対応しない企業も~

という記事が掲載されました。

労働災害(以下、労災)とは、業務上または通勤途上の負傷・疾病・死亡・障害のことをいいます。

また労災の認定には業務遂行性と業務起因性の2つの基準をもとに判断されます。

業務遂行性は、労働者が事業主の支配管理下にある状態において有害因子を受けることを意味しています。

業務起因性とは業務と発症原因との間及び発症原因と疾病との間に二重に有する因果関係を意味します。

新型コロナウイルスに感染について労災と認められるかについて、業務起因の感染が明らかであり、業務との間に相当因果関係が認められるかが判断基準となります。

2021年7月20日のトピックスでもお伝えしましたが、昨年の7月時点での医療従事者以外の新型コロナウイルス感染による労災の認定件数は25件でした。

しかし本年の9月末時点では医療従事者以外は3409件、医療従事者は11403件の労災認定が行われています。

医療従事者の新型コロナウイルス感染による労災認定件数が多い要因として、業務と新型コロナウイルス感染との間に因果関係が強いことが挙げられます。

医療従事者は業務として新型コロナウイルスとの接触が多いため、業務外での感染が明確ではない限り、原則労災の対象となります。

一方で、他の業務に従事している労働者については、「感染経路が不明確」として、業務と新型コロナウイルス感染との間に相当因果関係が認められないとして、ほとんど労災認定されません。

実際に感染経路が不明確な場合には

①事業所において複数人の感染者がいること
②小売業の販売やタクシー運転業務のよう顧客との接触機会が多いか

等の基準に基づいて個別に判断されます。

東京労働安全衛生センターは事業所で労災の申請者がおらず、感染による労災申請を断念する人もいるが、感染経路不明の場合でも個人の労災申請は可能なので積極的に活用を検討してほしいと呼びかけています。

<山田 航太>