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最低賃金について

2022年8月3日の日本経済新聞の朝刊に

試される「賃上げで雇用増」~持続へ生産性カギ~

という記事が掲載されました。

8月1日夜、厚生労働相の中央最低賃金審議会にて最低賃金を現在の930円から961円とする方 針が決まりました。

近年の賃金分布は中間部分が盛り上がる「ベル型」から、下へ行くほど多い「直角三角形」へと移行しており、今回の最低賃金の引きあげによって賃金分布全体がプラス方向へ移行するのが理想とされています。

この31円の引き上げは、過去最高の上げ幅で、昨今の物価高を考慮してのことです。

一方で、物価高により企業収益も圧迫しており、中小企業では賃上げに余力がないところも少なくありません。

そのような企業が従業員や労働時間を減らすといった対策をするという懸念もありますが、現 在は人手不足の傾向が強いことから、引き上げによる悪影響はそれほどないという意見もありま す。

しかし、労働市場が厳しい状況だった2005年~2013年には、最低賃金が1%上昇したことで約2%の求人数の減少が起こった事例があることから、様々な視点からの議論がなされています。

賃上げによる、全体的な平均賃金の底上げが期待される中、最低賃金引き上げの悪影響を受ける人の多くは、労働市場において弱い立場の人であり、その様な人々が最悪のケースでは職を失う可能性もあるというジレンマは残ります。

今後、都道府県の審議会がそれぞれ実額を決定し、10月ごろに適用される予定です。

今後の賃上げによる新たな問題に直面したときに必用なのは、産業全体の生産性を高めることです。

持続的な賃上げを定着させていくために、デジタル化を含めた設備拡充や人への投資で生産性を高め、製品やサービスの価値の上昇を目指していくことがより求められていくでしょう。

〈大野佑莉〉