2022年8月29日の日本経済新聞の朝刊に
という記事が掲載されました。
今年、2022年は一気に人的資本の開示に関心が高まっています。
欧米で開示が始まっていることなどから、日本でも様々な公的研究会が立ち上げられ、報告書が公開されています。
日本も有価証券報告書の中で人的資本や多様性の記載が必要になることはすでに決まっています。
しかし、日本で注目される開示項目は、欧米のものとやや性質が異なるようです。
海外の主要企業で重要視されているのは、同一労働同一賃金(ペイエクイティ)、給与や年金拠出額、訓練費用、採用費用などの人材に投資する項目です。
これらの項目は従業員エンゲージメントに関する競合他社との比較調査の結果などとともに開示されます。
一方日本では、働き方改革や、有給休暇取得率など、働きやすさの指標になる項目が中心であり、欧米のように同一労働同一賃金や給与など仕事それ自体に重点をおいた内容についてはあまり触れられていません。
これは、欧米と日本の雇用形態が違うことが原因として考えられます。欧米がジョブ型であるのに対して、日本はメンバーシップ型の企業が大多数です。
よって、重要視している項目が異なるのは自然なことであると言えます。
今後も日本の人的資本の開示内容は増えていく見込みです。
例えば女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差などの開示が始まることが決まっています。
最近では、人的資本に関する一連の意思決定を行うCHRO(チーフ・ヒューマンリソース・オフィサー)を設置する企業も出てきています。
法で提示された内容のみならず、自社の競争優位性を示すためにどのような人的資本の開示をどこまで推し進めていくか、それぞれの企業が考えなければならない時代が来ているようです。
〈大野 佑莉〉