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男女で育休を取得した場合の給付率引き上げについて

2023年3月18日の日本経済新聞の朝刊に

男女で育休「手取り10割」給付~少子化対策で首相表明~

という記事が掲載されました。

岸田首相は17日の記者会見で育児休業給付の制度拡充を表明しました。「産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り10割に引き上げる」というものです。

「2030年代に突入するまでの6~7年が少子化傾向を反転できるかのチャンスだ」という考えを示し、職場環境の改善を求めました。

首相が掲げる少子化対策には「若い世代の所得増」、「社会全体の構造や意識を変える」、「すべての子育て世帯を切れ目なく支援」の3つの基本理念があります。

日本の出生数は22年に1899年以降初めて80万人を割りました。これは経済成長や社会保障の土台を揺らがせる事態とも言えます。

現在実施している給付金の増額、保育所整備などでは根本的な少子化対策にはならないとされています。

その議論の中で、女性に育児負担が集中する「ワンオペ育児」の実態を変える必要があるとの意見が出ました。

夫婦だけではなく、職場や地域が子育て世代を支援する社会を作るため、育休取得の促進を具体策として例示しました。

男性の育児休業取得率は、21年度は13.97%だったが、25年度には50%、30年度には85%に引き上げると言明しました。

従来の目標は25年度時点で30%という数値でしたが、それを上方修正した形です。

今回の改正では休業前賃金の67%の育休給付を男女とも取得すれば一定期間を8割とする改正です。

社会保険料の免除と併せて、実質的に手取り100%を確保できるように調整します。この給付率アップにより、数百億円程度が予算として必要になる見通しです。

首相はさらに、給付金を雇用保険で補えない就労者にも支援を広げる予定です。

非正規や自営業者の方々にも育児に伴う収入減のリスクに対応した、新たな経済的支援を創設し、更に多子世帯などの負担を考慮し、児童手当の拡充といった支援にも取り組む考えを明らかにしました。

少子化が進む現代社会ですが、今後の改正によってあらゆる人にとって育児休業取得のハードルが下がり、より子供を産み育てやすい社会になることが期待されています。

<大野 佑莉>