終身雇用制度とは日本で昔からとられてきた雇用制度であり、文字通り企業が倒産しない限り、社員を解雇せず定年まで雇い続ける仕組みのことです。
終身雇用制度には
・定年まで働ける環境を提供できるため、社員に雇用の安心感を与えられる
・会社と社員で強い信頼関係を築くことができ、社員の忠誠心が育てられる
・離職率の低下により、会社は社員の長期的な育成に力を入れることができる
などのメリットがあります。
さらに終身雇用制度を採用する会社では
・勤続年数が長くなるにつれ社員の待遇・賃金が増していく
といういわゆる年功序列の評価制度を同時に採用していることが多いため、そのような会社では定年まで同じ会社で働き続ける人も少なくありませんでした。
しかし、
2023年6月20日の日本経済新聞の朝刊に掲載された「薄れる「終身雇用優位」 中年層、転職希望5年で3割増」という記事にもあるように、近年は終身雇用の優位性が薄れ、転職を視野に入れる中年層が増えているようです。
総務省によると45~64歳の転職等希望者は2023年1~3月平均が378万人と、5年前の18年同期比で3割以上も増えています。
その背景には、定年の延長や廃止でこれまでよりも働く時間が延びたことにあり、定年後を見据えてキャリアを見直し、早く転職を希望する人が増えています。
また、同じ会社で長く働く人と転職者の賃金差が縮小していることも、転職希望への追い風となっています。
このような状況から、最近は能力主義の人事評価にも注目が集まっています。
働き方改革が行われる今、人事評価や賃金制度などを含む雇用制度にも目を向け、全員が納得して働ける会社を目指していけたらいいですね。
<近井 萌華>