2023年10月27日の日本経済新聞のに
という記事が掲載されました。
年収が一定額を超えるとパート労働者らの手取りが減る年収の壁が注目されています。
政府は10月から企業に助成金を出すといった対応策を始めました。
しかし、時給が上がれば壁は大きな問題にはなりにくいと考えられます。
壁となる年収は複数あり、特に影響の大きさを指摘されるのが年収106万円。
従業員101人以上の企業で、週20時間以上働き月額賃金が8.8万円(年収換算で約106万円)以上などの条件を満たすと厚生年金や企業の健康保険に加入します。
106万円の壁の手前で働く人は多く、総務省の労働力調査によるとパート従業員の労働時間で多いのは週に20~24時間で、全体の約2割を占めます。1日7時間を週3日など、育児や介護などをしながら働く場合に多くなりやすい時間とされます。
23年度の最低賃金は全国の加重平均で1004円。週20時間働くと単純計算で年収は104万円程度になります。
しかし、時給が上がれば週20時間労働で壁を意識する必要はなくなります。
時給1200円なら週20時間で年収は124.8万円。
厚生年金など社会保険料の負担増を年収増が補い、労働者の手取りが回復する水準になります。
今後、最低賃金の上昇に伴いパート労働者の社会保険加入が進むと、企業は雇用主としての社会保険料負担の増加が重なり人件費負担が増える課題が見えてきます。
政府は10月から社会保険料負担による手取り減少分を補う狙いなどから、1人当たり最大50万円の助成を始めました。
慶大の権丈教授は「人手不足なら企業は賃上げをして、その分売り上げを伸ばす経営努力をするのが健全」と指摘しています。
一時的ではありますが政策がなされていることは良いことですが、抜本的な解決にはまだほど遠いので、企業側と政府側双方の動きが今後注目されます。
<原 あかり>