一般的に懲戒処分として、譴責、訓戒、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇と順に重い処分になっている就業規則が多いと思います。この中で、出勤停止についてどの程度の期間まで認められるのでしょうか。
まず懲戒処分が有効となる条件についてみていきましょう。
以下の4要件が必要です。
1.罰刑法定主義
懲戒処分を行うためには、その理由とこれに対応する懲戒の種類・程度が就業規則上明記されていなければなりません。
2.平等取り扱いの原則
同程度の違反に対して、懲戒処分が異なってはいけないということです。
3.相当性の原則
重い懲戒処分については、規律違反の種類・程度その他の事情に照らして相当なものでなければなりません。裁判において懲戒処分が有効かどうかを判断するとき、この原則が主要な判断となります。
4.適正手続き
懲戒処分への手続きの適正さが要求されます。労働組合との協議がある場合には、その手続きを遵守しなければなりません。このような手続きが規定されてないとしても、最低限、本人からの弁明の機会を与える必要があります。
出勤停止の期間について、裁判例では、生理日の休暇中に遠隔地へ長時間かけて出かけ、翌日の民謡大会に出席したことが、休暇の不正取得とされ、これに対する6ヶ月の懲戒休職につき、重すぎるとして、3ヶ月の程度で有効とした例があります。
個人的な意見としては、1ヶ月以内の出勤停止が妥当だと考えます。
なぜなら、出勤停止の期間中、就労していないのだから収入はなく、1ヶ月を超える期間収入なしに生活していくことは困難だからです。
もし2ヶ月、3ヶ月の出勤停止処分を行うならば、従業員としてはやっていけず、やめざるを得ないものとなります。
一種の解雇に近いものがあります。
出勤停止を行う場合、使用者側が処分として「解雇」まで重くないと考えれば、出勤停止の期間として1ヶ月以内で収まるのでは、ないかと考えます。