2024年7月3日の日経新聞夕刊に
という記事が掲載されました。
国際協力機構(JICA)は、政府が目指す経済成長を達成するには2040年に外国人労働者が688万人必要という推計をまとめました。
今回の推計では、政府が2019年の年金財政検証で示した「成長実現ケース」に基づき、国内総生産(GDP)の年平均1.24%の成長を目標に設定しました。この設定により、2040年にGDPが704兆円、2023年比で2割増となる見込みです。
したがって、国内の労働力が様々な要因で減少する中で上記の目標を達成するためには、機械化や自動化の発達がこれまで以上のペースで進んだとしても、2030年に419万人、2040年に688万人の外国人労働者が必要と算出されています。
しかしながら、現在の人材供給の見通しは591万人にとどまっており、推計されている必要人数には97万人が不足しています。
2022年に公表された前回の推計では、2040年時点の不足人数は42万人であると推測されていました。今回はアジア各国から来日する労働者数が前回推計よりも減ったことで、不足人数が倍増すると見込まれたようです。
必要な外国人材を確保するためにできることは、来日人数を増やすことの他に、来日した外国人に長く滞在してもらうことが挙げられます。
今回の推計では、出入国在留管理庁の統計を基に62.3%が来日から3年以内に帰国すると仮定されており、3年以上働く人の割合が増加すれば、不足数を減少させることができます。
そこで政府は、2027年を目途に新制度「育成就労」を導入する計画を立てています。これは特定技能と対象業種をそろえている、技能実習に代わる制度です。3年間の育成就労を終えた後も特定技能に切り替えやすくする狙いがあります。
なお、上記のような政策面での変化は、今回の推計には反映されていません。
日本語教育推進法は、外国人材や家族への日本語教育については事業主の責務であると定めています。しかし、日本語教育を各企業で徹底することは容易でなく、今後も日本語教育の充実が大きな課題と言えます。
政府や自治体が主導して教育環境の整備をすることや、外国人労働者の受け入れ企業の支援の拡大が今後求められることになると思います。
<楢﨑 陽香>