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日本が抱える人手不足とこれからの経済成長

7月29日から7月31日の3日間それぞれの朝刊で、

人手不足と経済成長(上) 労働時間の減少も直視を
人手不足と経済成長(中) 転職と大学院教育がカギ
人手不足と経済成長(下) 自動化こそ日本の勝ち筋

という記事が掲載されました。

日本が抱える人手不足の問題は、一時的な景気の影響ではなく、少子高齢化に伴う構造的な課題です。今後も生産年齢人口は減少していくことが予想されており、あらゆる産業で人材確保が難しくなると考えられます。

さらに、働き方改革やワークライフバランスの重視により、労働時間は年々短くなっています。そのため、「人を増やす」ことだけでは対応しきれず、限られた労働力でいかに効率よく働くか、つまり労働生産性の向上が、経済成長にとってますます重要になっています。

この課題に対応するには、女性や高齢者の就労促進外国人労働者の受け入れ拡大、そしてAIやデジタル技術の導入など、多方面からのアプローチが必要です。

また、人材を必要な場所に適切に移す「再配置」も重要です。現状の日本では、転職への心理的な抵抗や制度面での壁が高く、労働市場の流動性が低いといわれています。

人手が余っている分野から、医療・介護・ITなど人手不足の分野へと、人材がスムーズに移動できる仕組みづくりが求められます。

そのためには、働きながらスキルを身につけたり、学び直したりできる環境の整備が欠かせません。日本では大学院への進学率が低く、社会人の学び直しを支援する制度もまだ十分とはいえません。

大学院教育の充実や、社会人の教育支援制度の拡充が急務です。

人手不足に真正面から向き合い、労働力の「量」だけでなく「質」や「活用の仕方」を見直していくことが、今後の持続的な経済成長にとって欠かせません。

政府・企業・教育機関が連携し、働き方や学び方、人材活用の仕組み全体を改革していくことが強く求められています。

私は、人手不足が構造的な課題であるという指摘に強く共感しました。採用難が続く中で、生産性の向上や人材の再配置、学び直しの支援がますます重要になっていると感じます。

特に中小企業では、人材を育て、活かす仕組みづくりが追いついていないケースも多く、社労士としてその支援に関わる役割は今後さらに大きくなると思います。

単なる制度対応にとどまらず、人と組織の成長を支えるパートナーであるべきだと、改めて考えさせられました。

<小松 優佳>