2025年10月15日の日本経済新聞に
「もっと働きたい」6%どまり 就業時間「変えたくない」7割超 「年収の壁」解消はニーズ
という記事が出ました。
内容は、7月20日に行われた参院選において各党が「働き方改革」を見直す公約を掲げ、自民党は「個人の意欲と能力を最大限生かせる社会を実現するため『働きたい改革』を推進する」と唱えました。
より踏み込んだ政策を掲げた党もあり、参政は政府の働き方改革による「画一的な残業時間上限設定」が働く意欲をそぎ、サービス残業を促していると主張し、公約に「時間外労働の上限規制の見直し(職種や条件による緩和措置)」を盛っています。
他方で立憲民主は連日の長時間勤務を禁止する「勤務間インターバル」の義務化を主張しています。
与野党の一部で残業時間の規制緩和を求める声が出ており、それは労働力確保に苦しむ企業の不満が背景にあるようです。
もっとも、厚生労働省が各種統計やアンケートを基に試算したところ「もっと働きたい」と考えている人は就業者の6.4%にとどまりました。
資料によると、就業者全体のうち、「就業時間を増やしたい」は6.4%
「変えたくない」(74.9%)と「減らしたい」(17.6%)が合わせて全体の9割以上を占めています。
「増やしたい」労働者の約半分にあたる3.3%は、契約で決まっている労働時間(所定労働時間)が週35時間未満かつ年収が200万円未満で、厚労省はパートやアルバイトで働く女性を中心に、いわゆる「年収の壁」を気にせずに働きたい層が多いと分析しました。
残業規制の一つである月平均80時間を超えて増やしたい労働者は0.1%にとどまっており、労働者側からの上限規制緩和のニーズは数字の上では大きくありません。
経営者側は、残業の規制は必要としたうえで、より柔軟な働き方を検討すべきだと主張しており、あらかじめ労使が決めた時間を働いたとみなす裁量労働制の対象となる人の拡大や導入手続きの緩和などを求めています。
労働者側は、裁量労働制は長時間労働を助長しかねないとしており双方の隔たりは大きいようです。
残業時間の上限が引き上げられれば、フルタイムで働きながら家事や子育てをするのが困難になり家庭内の負担が夫婦の一方に偏ることでしょう。
日本には細かな労働に関する法律が存在し、1つに「給与」といっても税法・労働基準法・健康保険法等多岐にわたる法律によって内容の範囲も異なります。
ある立場ではいい案であっても、異なる立場に立ってみると不都合になることは多々あるでしょう。
全体の及第点を探し、ベストなキャリアプランの構築を目指せることができるようになればうれしいです。
<武末 江里>