2019年10月21日の日本経済新聞の朝刊記事に
という記事が掲載されました。
2020年4月に民法が改正されることにより、債権の時効が原則的に、債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないときとされることとなっています。
一方、労働基準法115条では、賃金の消滅時効を2年と定めていることから、この見直しが必要ではないかと、本年7月の厚生労働省の「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」で議論が行われてきました。
7月の検討会で、時効を2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要という方向性を打ち出しております。
今回の記事では、未払い賃金の請求期間を、将来は5年への延長を視野に入れつつ、まずは3年への延長を目指す、というものとなっておりますが、3年、というのは未払い賃金が発生しないよう、勤怠システムの導入などの企業負担を考慮した上での内容だと読み取れます。
また、課題として、改正法の施行期日以降のどのような債権からこれを適用するのかなど、様々な技術的なものもあります。
企業は、将来の5年への延長も考慮して、これに対応していかなければなりません。
いずれにしても未払い残業代などの請求を受けることがないよう、適正な人事労務管理を行っていく必要があるのではないでしょうか。
今後の議論に注目していきたいものです。
〈藤川 楓〉