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「自営ワーカー」に法の保護

2021年5月21日の日本経済新聞の朝刊に

配達員など「自営ワーカー」に法の保護~日本も格差対策~

という記事が掲載されました。

インターネットを通じて、単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」と呼ばれる労働者が増えてきています。

宅配サービスのウーバーイーツなど、毎日のように自転車やバイクで宅配する姿を街で見かけます。

新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴って、外出を控え在宅で過ごす人が多くなったことも、利用が拡がった一因だと思います。

「ギグワーカー」を、社会保障などの面で保護する動きが出てきています。

労働法は原則として雇用者に適用されるため、最低賃金の対象外です。

厚生労働省は料理宅配員やフリーランスのIT(情報技術)エンジニアに対し、労災保険への特別加入を認める方針です。

労災保険は、日本国内で労働者として事業主に雇用され賃金を受けている方を対象としています。

そのため、事業主・自営業主・家族従業者など労働者以外の方は労災保険の対象にならず、業務により負傷した場合などでも労災保険給付を受けることは出来ません。

しかし、例えば中小事業の場合、事業主は労働者とともに労働者と同様の業務に従事する場合が多いこと、また、建設の事業などの自営業者は、いわゆる一人親方として、労働者を雇わずに自分自身で業務に従事するため、これらの方の業務の実態は労働者と変わらないことから、労働者に準じて保護することを目的としています。

【労災保険の特別加入制度とは?】
労災保険は、労働者の災害補償を行うもので、保護の対象となるのは労働基準法上の労働者です。

本来労働者以外の、中小事業主、自営業者、家族従事者などの労働災害は、労災保険の対象外です。

しかし、作業の実態から、労働者と同様に保護するにふさわしい以下の者に、労災保険の保護を受けられるよう特別加入の制度を設けています。

①中小事業主
②一人親方
③海外派遣者

また令和3年4月1日から、新たに「芸能関係作業従事者、アニメーション制作作業従事者、柔道整復師、創業支援等措置に基づき事業を行う方」が特別加入制度の対象となります。

ギグワーカーが新たな働き⽅として広がる中、安心して働けるよう法整備が進むことが求められています。
<寺師 瞳>