労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。具体的には、使用者の指揮命令下で仕事を開始した時間から仕事を終えた時間までの「拘束時間」のうち、休憩時間を差し引いた時間です。
労基法32条に「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない」とあります。
休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れことを保障されている時間のことであり、この時間は、実質的に労働から解放され、自由に利用することが保障されていなければなりません。
仮眠時間とは、仮眠室で睡眠等をとることは認められているが、緊急事態等の一定の事態が発生した場合には、直ちに対応して作業等を行うことが義務付けられている時間です。仮眠時間中は実作業に従事していないことから、仮眠時間を休憩時間とする取り扱いをしている会社もあると思います。
しかし仮眠時間中は、仮眠室等の一定の場所で待機することを義務付けられ、何らかの事態が発生した場合、即座に対応に当たることが予定されており、完全に労働から解放されることを保障された自由な時間とはいえません。よって仮眠時間は、休憩時間ではなく手待時間とみなされ、労働時間に該当すると判断される可能性が高くなります。
大星ビル管理事件(最高裁1小平14・2・28判決)において、ビル管理会社の従業員が従事する泊まり勤務中の仮眠時間について、「当該従業員が配属先のビルからの外出を原則として禁止され、仮眠室における在室や、電話の収受、警報に対応した必要な措置をとること等が義務付けられ、飲酒も禁止されている場合について、仮眠時間中は不活動仮眠時間も含めて使用者の指揮命令下に置かれているものであり、当該仮眠時間は労働時間にあたる」と判断されております。