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よくある相談

就業規則に定めがあれば、本人の個別同意がなくても出向を命じられるか

出向(在籍出向)は、雇用契約に基づき、出向元に在籍しながら他社(出向先)に赴き、かつ出向先の従業員となりその指揮監督に従い、出向先の業務に従事するものをいいます。

出向は、企業内配転である転勤などとは異なり、移動が企業間で行われることから、民法625条が適用されます。

民法625条
使用者は、労働者の承諾がなければ、その権利を第三者に譲渡することはできない

この民法625条の「労働者承諾」とは…

①出向に対する個別具体的な同意、つまり、具体的なある出向先への出向が決まったときに、その都度、労働者本人から同意を得ることを要するのか
②労働協約や就業規則に出向規定が存する場合には出向に応ずることが労働契約の内容となっているという包括的な同意があるとみて、これらに基づき出向を命ずることができると解することができるのか

という議論があります。

裁判例は、②を採用し…

労働協約や就業規則に出向規定が存し、出向に際して出向先企業の範囲、出向期間や賃金、退職金など出向期間中の労働条件に関して明示されている場合で、出向命令が人事権濫用に当たらない場合には、労働者の個別の同意がない場合でも、出向命令の効力を肯定する
(新日本製鐵[日鐵運輸第2]事件 最高裁二小 平15.4.18判決)

と、されています。

つまり、出向規定が存する場合であって、命令が法令に反せず、人事権濫用にも当たらなければ異動を命じることができることとなります。

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