福岡の社会保険労務士法人 COMMITMENT

Topics

トピックス

ジョブ型雇用について

2020年1月22日の日本経済新聞の朝刊記事に

雇用「脱一律」で人材磨く

という記事が掲載されました。

経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は、2019年5月7日の定例会見で、「終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることが限界になっている」と発表しました。

また、トヨタ自動車の豊田章男社長は、2019年5月13日、日本自動車工業会の会長会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい」と発表しました。

この2人の発言から終身雇用の崩壊が一般的に意識されるようになったと感じます。

終身雇用とは、経済が右肩上がりで伸び、長い目で人を育てればよかったときのシステムであって、高度経済成長期のように、グングンと経済成長をすることが前提で成り立っていました。

日本型雇用制度の柱でもある年功序列についても、従業員全員に該当する「年齢」という基準を軸に給与やポジションなどの処遇が決まるため、合理的で公平な制度のひとつであるともいえますが、これも「時間と共に能力や経験値もあがる」という前提に基づいています。

デジタル化とグローバル化の進展により、競争環境が激しく変わるなかで、イノベーションを起こせる人材を早急に輩出し続けなければならない今には、この日本型雇用制度は、基本的にそぐわなくなってきています。

日本型雇用制度の課題が表面化したことで、記事にもあるように、欧米企業に由来するジョブ型雇用へ切り替えを促す声も上がっています。

働き方改革の一つである、同一労働同一賃金も基本的にこのジョブ型雇用を前提とした考え方であると言えます。

しかし、様々な価値観や環境が異なる中で、雇用の形を一気に変化させることはあまり現実的ではありません

これからは、従来の日本型雇用と、欧米では一般的なジョブ型雇用を比較する中で、日本の独自性を活かしながらも時代の変化に合わせた、組織のあるべき姿を模索することが重要となっていくのではないでしょうか。

〈藤川 楓〉