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労働者の合意なき配転命令 雇用主側に賠償命令

2025年1月24日の日本経済新聞に

高裁、雇用主側に賠償命令 職種限定、合意なき配置転換 差し戻し審「手続き尽くしていない」

という記事が掲載されました。

職種を限定する合意をした労働者に対し、使用者が別の職種への配置転換を命じられるかが争われた訴訟の差し戻し審判決が23日、大阪高裁で行われました。

裁判長は同意のない配転命令は違法だとして、命令を出した施設に88万円の損害賠償の支払いを命じる判決を下しました。

昨年4月、最高裁は労働環境の変更に関する労使間の合意を重く捉え、労働者の同意のない配転命令は「違法」とする“初”の判断を示していました。

今回の差し戻し審判決は、最高裁判決に沿って、使用者は本人の合意のない配置転換を命じる権利をもたないと判示しました。

裁判長は差し戻し審の判決理由で、施設側は労働者との面談などを通じ、職種を限定する双方の合意について容易に認識できたと指摘。

その上で、職種変更の合意を得るための働きかけなど「尽くすべき手続きをとっていない」として、当該労働者の配置転換は違法だと結論づけました。

労働契約法は労使双方が合意すれば、契約で定めた労働条件を変更できると定めています。

一方で、契約で従事する職種を限った場合は、労働者が同意しなければ別の職種に配置転換することができません。

昨年4月に労働基準法施行規則第5条が改正され、2024年4月以降の労働契約締結・更新にあたっては、契約締結・更新直後の「就業の場所及び従事すべき業務」だけでなく、その契約期間での、就業場所と従事すべき業務の「変更の範囲」の明示も義務づけられることとなりました。

法改正が絶えず行われる今、最新の法律を確認、アップデートし遵守していく必要があるでしょう。

<武末 江里>